失われていく題名/秋津一二三
 
いた」
それはそれで大変だろうね と笑っていた
雨が降ったら降ったで大変だろうし
晴れたら晴れたで 日々の挨拶のように
「均」
花で花を造る
花のない部位はしかし
実りを迎えない
「三月の造花」
死の手前の死の手前
心づもりは今も今にしかできない
許しの可否もなく訪れよう
「秋の終わり」
いついずこから訪れるのか
透かされた脈は朱となる
彼方より私と私を経
「反照と透過」
昼の私たちが知らないように
夜の彼らは知らない
息づいている
「夜の影」
誰ちゃんのパパorママ
そうして生きている
のも知る範囲だと楽だから
「模して」
郷里が閉塞しているとき
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