失われていく題名/秋津一二三
 
「山は降りるために」
そこには永遠に似た永劫があって
形作る由をあっさりと奪っていく
メカニズムは内包された
「螺旋と連環」
収束は拡散を待ち
拡散は収束を待つ
その間は何をしても良い
「より隅。 隅より」
東西南北四方八方八紘一宇
諍い争い奪い合い
喜怒哀楽は歴史の外に
「解放と崩壊。 そして」
残とはじまる物は
アンチとはじまる物のように
理由の後から生じる
「残像の理由。 その意志」
別れを切り出せば別れとなった
尊重されていた日々は
動物の部分を飢えさせた
「彼が去った日」
胸元に雨の名残
何故 と私の恋する人
雨の止む答えは
「降っていた
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