失われていく題名/秋津一二三
白い線と点
雲へとは続かない道
「雨に進む」
その日まで覚えてて
次の日に忘れて
生きてた私が一番でないといやよ
「最期の約束」
数に意味を持たせるように
此処からは独り と線を踏む
信号は赤いから走れ
「定めた日」
視線 あるいは風
さらすことはなく
真実のない青空の法廷で
「さらされていた」
星が見えないね
と 彼女は俯いた
僕も俯いた
「星は足下に」
幾星霜もかからず
一寸の間に結われた布地
備えなければ不意打ち
「仮縫いの慕」
傷のある人と教えられ
待ち合うその人の
後先の傷に関わることはない
「傷だけの人」
借金取りさんが通う家の
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