失われていく題名/秋津一二三
 
せる華やかずきる
「洋花」
半勃ちした一物か濡れぬ膣のよう
肉親の声は何処か癒着がある
私の血を浄化することは可能であろうか
「混ざれども交ざらず」
役割と力を考えれば
成すべき事はおのずと知る
何の一であるかは 知らずとも
「分配された人生」
彼は狂っていなかった
正気も過ぎれば狂気と映る
されど 狂うことは許されぬ
「正気の沙汰」
聞く者のいない音は定められない
道草のように不要に在る
風は私を認識せずにかわしていく
「和音の響く路傍」
炉から出たばかりの磁器のよう
なのに 熱は深くなっていく
不確かな腰を抱き寄せる
「白む上辺」
海にすむ者は海のみ
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