ポエジーの目覚めの頃/きりえしふみ
その気はないものの 女同士の接吻さえ その時ばかりは厭わない
ポエジーという名の女は酷い怠け者 鈍感者でもあるのだから
そうでもしなけりゃ 彼女
高級ホテルのラウンジバーでも開店となる時刻まで眠り兼ねない
故に私は時に手荒に ペンで彼女をつっつき起こす
白々しく黙り返る 原稿用紙の白い戸という戸を
ノックは不要と取り外す
頗る機嫌の悪い時には
前触れもなしに 実力行使で彼女を引き立ていく
とうに明るい 昼下がりの庭先へと……そして
そのまま組み立て作業だ
忘れ去られそうな 文字群や溜め息……くらっと眩暈がしそうだ めかし込んだ粋なリズム
朝霧漂う
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