ポエジーの目覚めの頃/きりえしふみ
漂う春の箱庭 建設していく
白いばかりの紙切れ 砂丘の上で
町を 湖城を 木々を 風を
建築していく 他人には不可視の心を 人に浸透し易い文字へ 変換していく
睡眠好きな彼女が 漸くカーディガン、肩に羽織って
「お紅茶、頂けて?」と 優雅に小首を傾げる頃
今日も不朽を求める私の一篇が 軽やかに立ち現れる 若木のように
編み目の見えない花や葡萄の 彼女に映えるドレスの刺繍のように
まるで夢見る女の 甘い溜め息
そのように現れる 彼女ら……詩は
(c)shifumi kirye
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