嘘と足枷/雪間 翔
偽りと誇張でできた塗料で、真実を塗り潰していました。
塗料はすぐに揮発してしまうので、定期的に塗り直す必要がありました。
しかし、塗料はわたしの性格を反映するように不安定なので、すべての塗料が揮発するわけではなく、
ところどころに真実との癒着による玉ができてしまいます。
玉を取り除くことは非常に困難なので、塗り重ねていくしかありません。
無色の真実とは違い、わたしの誇大な妄想を孕んだ塗料の発色はとても鮮やかなので、
塗り重ねていくほどに異なる極彩色は澱んでいきます。
その結果、塗装の仕上がりは暗くいびつなものになっていくのでした。
それはわたしの怠慢によって
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