嘘と足枷/雪間 翔
 
って次第に巨大な球体になり、鎖となってわたしの両足に絡み付き、
わたしはいつしかそんな足枷を引きずりながら、ここまできてしまいました。

見えているのはわたしだけなのかもしれませんが、
街行く人、駅前に佇む人、誰もが大小さまざまな足枷を抱えています。
きれいな色の球の枷、澱だらけの岩のような枷など、わたしは足枷の状態を見るだけで、
その人の人となりがなんとなく分かるようになっていました。

でも、あなたのことだけはどうしても分かりません。
わたしなりにたくさんの人を見てきたつもりです。
どんなに飾らず正直な人でも足元を見れば足枷がまとわり付いていました。
でもあなたの足には何もないのです。
あなたはいつもわたしを置いて、遠くの方で笑っています。
足枷からでしか人を見られなくなったわたしを、困ったような顔で。

そんなあなたに笑い返す度、わたしの足枷はまた、大きくなるのでした。


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