頭痛に任せ/真紅
それは長い道のりだった。長谷川という苗字を見かければ掴みかかり、問いただす。電話帳を引っ張り出して一日100件ほどの長谷川に大声で喚き問いただした。その生活の中、何度を、何日を獄中で過ごしただろう。再犯の罪は重く、コンクリートの香りを含んだ空気以外を吸える日は自分でも解るほどに少なくなってきた。
今日はいい天気だ。下品な生活臭のする住宅街を歩く。細い道があれば歩みを止める。眺めればそちらへ行きたくなる。それを堪える。まとまらない考えといつまで経っても出ない答え。その両端を結び合わせることで結論に達した。
秋風が頬に当たる。秋風が邪魔そうに私を避けていく。目に見えない、私の形にぽっかり開い
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