僕の子羊/雨傘
毛糸の束が絨毯の上を転がり、橙色の線を引いた。
日当たりの良いマンションの一室で彼女は編み物を続けている。僕は息苦しさに耐えかねて仕事に出た。枯枝を通った光がコンクリートの上でやわらかく揺れていた。
できて間もない始発駅でいつもの電車に乗り込んだ。蛍光灯が車内を均等に映し出している。
−誰もいない−
正月休みにこんな早くから出社する人などいないのだろう。それでも聞きなれたチャイムが響き、電車は動き出した。彼女が実家に帰ることさえ拒んだのには脱力した。僕が支えるべきだろうが、もう励ます方法が分からなくなっていた。同情するのも白々しく映りそうだった。
車両の中はいつもより温かい。僕の頭はぼ
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