僕の子羊/雨傘
 
はぼんやりと重くなっていた。停車駅で電車が止まり、扉が開くと、ホームから子羊が大量になだれ込んできた。
子羊はみるみるうちに車内に充満し、僕のわきにまで頭を摺り寄せてきた。どうしようかと、身を縮めていると、一頭の羊が僕の膝にあごを乗せた。首には橙色のマフラーを付けている。見回すと他の子羊たちも桃色の小さな靴下やボンボンのついた水色のマントを付けていた。子羊たちは鳴き声も足音も上げずとても静かだった。僕はマフラーをつけた子羊をそっと撫でた。子羊は目を細め、僕は胴体を抱き上げた。
そのとき電車が大きく揺れ、子羊たちは一斉に姿を消した。僕の膝には陽だまりと橙色のマフラーが残った。

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