いただきます/亜樹
 
クソテーを食べていた。曰く、白菜やピーマンを見るような目で豚を見れるようになってきたと言う。
「出荷前のピーマンにね、『ああ、大きくなって。美味しそうになって』って思うじゃない?『美味しく食べてもらうんだぞ』って。それと同じなんだよ、結局は」
さて、こんな姉は血も涙もない冷たい人間なんだろうか。私はそうは思わない。夕飯のポークソテーは美味しかった。

「ソマリアの子供に申し訳ない」と言いながら、父は残り物を食べる。どうも彼はニュースでみた紛争地域の子供たちが忘れられないらしい。私はソマリアがどこにあるのかは知らない。けれど、私が残したポテトサラダを、その国の子供が食べられないということはわ
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