手違い/小川 葉
何かの手違いで
一緒に暮らすことになった
隣の奥さんは
はじめとても戸惑ってたのに
奥さんがベッド
僕がソファ
と決めてから
少しずつ話すようになった
そのほとんどが
旦那さんの話で
僕はといえば妻の話ばかりで
だんだんと打ち解けていった
それでもやはり
淋しいのか
急に無口になることも多かった
それは僕も多分同じだった
ある日
偶然を装って
隣の旦那さんが来たけれど
それは偶然ではなかったので
帰らなければならなかった
その夜奥さんは
ベッドに深く潜って
泣いていた
僕はソファの上で
妻のことを考えていた
妻と偶然出会った日
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