批評祭参加作品■食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−/大村 浩一
がら、実は私のなかのあなた(のような
誰か)の面影を追いかけているだけなのかもしれない。雨の日の曇った窓硝子、
瞬き、外からの信号が遮られた時にだけ、無意識の自分が再生するその面影。
それはあるいは、自分が自ら抹消した不実な行為の、記憶の残滓なのかも知れ
ない。
#私の喉は閉じたままで
#幾つかの小さな空気孔が
#今日一日分の赤血球を分離させて行く
#白い雨は私たちの昼を浸食し
#夏の
#ぬるい海へ流れる
この第6連が、大村には正直よく分からなかったが。もしかするとこの詩の
主人公は透析治療のようなものを受ける必要がある病気で、もう動けない状態
なのかも知れない
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