批評祭参加作品■食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−/大村 浩一
 
評とは本来、作品について読者に新しい視点を与えるために書かれる
ものだと考えてはいるが、優れた批評が特定の作者・作品を盛りたてていくと
いう作用は認めるし、否定もしない。だからこそ取り上げる詩人が自分にとっ
て、アーチストとして人間として信頼出来るかどうか、ということが大切にな
ってくる。批評の結果、人生を傾けかねない「詩」の世界に相手を引きずり込
む事になるかもしれないのだから、立場が上であれ下であれ、選ぶ以上は選ぶ
側にも責任があると私は考えている。
 …今後のためにいろいろな話の糸口を作っておきたくて、藤丘さんには失礼
だが無関係な前置きを長々と書いた。やっと本題に入る。

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