恋歌/clef
、ながらえてきたせいぶつの、それを英知と
するならば、わたしたちがうちがわにかくしている欲望や汚辱を希
望とよぶことは、あながちあやまりではないだろう。
あなたが油にまみれた手で、ちからをふりしぼって、毎日まいにち
回すのだという無数のボルト。そのボルトがはらんだ熱は、いくつ
もの山脈をこえ、たぶんすこし冷めてから、わたしのところへ届い
た。熱のすべては、ちからにはならないのだから。それはきまって
いることなのだから。すべてがうすれてしまったとしても。誰も。
法則や公理からこぼれ落ちていく感情だとか、嫉妬だとか、夢だと
か、そのまま。
さしだされた空虚を、わたしは舌のう
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