「底」/菊尾
 
まだ拭いきれない残酷さは 
幼少の頃から根付いた罪深さは 
その胸のポケットに仕舞いこんでおけばいい 
連なる群青の浅い夜と深い朝 
いつ芽吹けばいいの 
だれが運んでくれるの 
分からずやの僕は何かに呼び止められる錯覚の最中 
挨拶はしていない 
そこまでの間柄にはならないだろうから 
挨拶はしていない 
明日を足の甲へ乗せて歩いているようで 
落とさないようバランスを保つ事が難しい 
落としたら何処へ行くのだろう 
落としたら何処へたどり着けるのだろう 
見たことのない世界が多いのは 
どちらでもない狭間で漂うことが多いから 
時折垣間見る世界の断片 
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