「底」/
菊尾
こじ開けて入り込もうとすると消滅してしまう
僕の視線は定まらず身体は浮遊する
また増えた君との会話が
僕の支えになり
僕を壊していく
それは同時進行でとても緩やかで
何よりもそうなる事を
望む僕がいる
横たわる右腕は下敷きに
薄い緑の底で平行になっていく
僕と君が疑うことを知らなかった頃
日常が縦に横に揺れていた頃
まだ互いの名前を聞いていなかった頃
白みがかるよ
僕達の理由も
拒んでいた現実も
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