一月一七日が近づくと/kaori*
流れてくるラジオを 聞いているみたい 二つ
の人影が 夜明けの音に 耳を 澄ましている
一月一七日が近づくと 校庭の片隅 湿ったドクダ
ミの匂いが 立ち込める 石碑の傍で 三人の少女
たちが笑う 白い手には 捧げられたスイセンの花
全校集会の最中 誰かが 鳴らした SOSを 指差
しながら 聞いている 生徒たちの歌声に いつの間
にか 授業中まわしそこねた 書きかけの手紙 の
ワンフレーズが リフレインしている
一月一七日が近づくと きれいに区画されて 消えて
しまった父の家 を見ようとして 目の奥が きゅ
っと 痛む JRガード下近くの狭い家 きっと
あの朝 つ
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