sketches/鴫澤初音
戻ることばかり考えている。それ以外、
考えていられない、ただ君のことは別だけど。だって
君はあの空を知っているから。一緒に呼吸していようよ。
指先に緑の芝生を隠して、水の飛沫が飛んでくる光が
きらきらしていたね。私たち、恥かしくもなく手を繋いで
汗を互いにこすりつけて、歩いていたよね。
君のネクタイを急いで外して、白いワイシャツを脱がせた。
チョコレートを取り出して、私の口に入れて。甘い、
甘かったビーチの水飲み場。夜、ビーチを繰り返し呼ぶ。
水の中で遊ぼうよ。身体が溺れていくような、空気の中。
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