sketches/鴫澤初音
、祈ろう。君だけを
思うこと。
君と初めてセックスすることを夢に見ながら、他の人と
寝た夜とか、君と交わした指先の震えとか、君の唇の柔
らかさとか、煙草の匂いとか、
生きていく確かな力だったし、それだけで胸が痛むほど
幸福だったけど、ずっといつまでもわかりあえないこと
の確信とか、ねえ、君は一体どこを見ているんだろうね。
世界が、私には美しすぎて、眼がいつも痛いんだけど、
君は笑ってるよね、私の感傷癖、私の音楽、私の見つめる
先とか。君は言うよね、
「それってお前だけが感じてるのものじゃないよきっと」
そうかもしれないけど、とて
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