狂ってなんかいないよ、君は僕だもの。/朽木 裕
 

俺には悲しいとか辛いとか苦しいとか
なんかこう、青春につきものな胸が苦しくなるような
青い感情がひとつとしてない。

近しい人が死んだって悲しくもなんともない。
その物体がいつかなくなるだけ。
ま、死んだ直後は存在はするけどね、生きてなくても。
親しかろうがなんだろうが関係ない。
だってそいつは死んだんだろ?

悲しいとか辛いとか苦しいとか
どういうときに感じる感情なんだ。
俺にはサッパリわからねぇ。分からなくて結構だけどね。

空に烏が一羽、
青い空に黒点みたいに映えて
風がざぁ、と吹き抜けた。

俺とセイは高校二年だが二年間ずっと一緒にいる。
しかしなが
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