リライト:Gandou/風季
に黒い円が重なる
小さな金のロケットに羅針盤の針が眠る
膝まで及ばぬ、こまかな繍の下衣をドレスで覆う
チケットを噛み、手袋を外して結い髪
山門をくぐる
すがしい森の深みと湿度が、体に詰まった熱をひとつずつ、弾き落としていく
こんこんと昇る息、オレンジの色味のさした頬、強く目を射るイルミネイション
ようこそ
波打つ声が八方へ拡散する
お招きありがとう
ポツリと呟く
模型のお城の佇まい
正門の時計が嘘の塗料をキラキラさせ
静かに槍を携えた番兵
それはプラスティック
睫毛を伏せた
キャラメル色の焚き火とホール
百合を象った白い万年筆を差し出す男の子
社交辞令が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)