嘘/アンテ
怒る理由が
わからなくて
あたしのことが嫌いなんだと
思っていた
嘘をついている自覚
すらなかった
観覧車役を
まゆこさんに押し付けたかったわけじゃない
少女役に
なりたかったわけじゃない
それでも
スケッチブックのページを閉じて
まゆこさんがほほえんで
これはあなたのものよ
手渡してくれた瞬間
肩から力が抜けた
謝らなくては
たくさんの人に
自分がしたことを
きっと
簡単には受け入れてもらえない
ことくらいわかっている
嫌な気持ちにさせるくらいなら
あたし一人が
我慢すればいい
でも
押入れの瓶は
すぐに見つかった
いっぱい
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