嘘/アンテ
 
ぱいつまったネジで
ずっしりと重くて
しっかり抱きかかえていなければ
落としてしまいそうになる
まゆこさんを催促して
庭に出る
物置でスコップを見つけて
柿の木の前の土に
穴を掘る
乾いた土を掻き出して
十分深くなったところに
瓶を納める
カチン 音がする
手で土を埋めもどしていくと
瓶はやがて見えなくなる
こんもり
盛り上がった部分を
手のひらで丁寧に叩いて
おしまいおしまい
どちらともなく
笑う
黒猫の名前
思い出したの
まゆこさんは振り返って
窓辺に立つ成美さんに
小さく手を振った

別々の時間が
始まったのだ

ぐるっと
ひと回
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