祝詞、君の/鴫澤初音
 
もまだ君が返事をくれることにさえ、感謝して
  手が離れずに繋がったままでいることがどれほど、
  どれほどこの気持ちを生きていかせるのかわからないまま、
  歩いていく、空の下を、胸を締め付けてなお、私、私は。

  ようやく君の足音が聞えたときにはもう時刻はだいぶんたっていた。
  君は何も言わずに横にきて、少し微笑んだ。
  傷が目立たないくらいにまで回復していることを知る。
  
  「ねぇ、」

  君は言う。私は君を抱き締めたいと思う。君に抱き締められたいと
  思う、こと。君を見て思うのはいつも、無声映画みたいだなぁ、て
  こと。言葉がない私たちは声がなく
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