カモノハシのパンセ5/佐々宝砂
 


***

泣き言を言えば気が晴れそうなら私はいくらでも泣き言を言うぞ、しくしく。
でも、自分で歩くぞ。泣き言言いながら歩くぞ。

二十歳ぐらいの時ハワイに行って、海で泳いだことを思い出す。白人の子どもたちが飛び込み台で遊んでいて、十二歳ぐらいの女の子が一人飛び込み台の上で泣いていた。怖くて泣いていたのだとおもう。私はハンパな英会話を使えるのが楽しくて"May I help you?"と女の子に言った。女の子はぽろぽろ涙を流して、でもきっぱりと"No thank you"と言った。手助けが必要な人には手を貸したい。手助けが必要なときは私も手
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(2)