カモノハシのパンセ5/佐々宝砂
猪悟能の結びつきは・・・と書き続けるとやばいとこにつながるのでちょっと話を飛ばして、孫悟空のような体力バカと、沙悟浄のような頭でっかちバカと、猪悟能のような欲望バカをなんとか救い上げとりまとめることができるのは、一般的な意味での権力ではないと思うのです。そして「現代」という時代は、三蔵法師のような「弱い個」が持つ権力にすらおびえはじめていて、それゆえ、『悟浄歎異』の調和的な解答は、現代に生きる私たちの指針になりえません。しかし私たちは、中島敦の問いと答をなんども熟慮できますし、熟慮するべきだと思います。問いは投げかけられて、未だ答は見つからず、答であるかもしれないと思った何かが、私には今や危険物の
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