血/アンテ
箱が次々と落ちていく
あたしは遠くの風景から目が逸らせない
小さな家並み
人々の息づかい
大丈夫
きっと大丈夫
くり返しつぶやく言葉が
自分に言い聞かせているのか
それとも
観覧車に話しかけているのか
わからなくなる
そんな夢
本屋でぐうぜん手に取った童話
表紙の観覧車の絵
を見た瞬間
息ができなくなった
あたしの夢と
同じ
だ
作家の名前を
胸に刻んだ
せきや
まゆこ
住んでいる街を
突き止めるのに
それほど時間はかからなかった
不思議な感覚
見えないのに
在るのがわかる
そっと伸ばした指先に
ノブの感触
ゆっくりと回して
見え
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