血/アンテ
 
空地
風が遠くの景色を揺らしている
雲がときおり陽をさえぎる
よかった
まだ消えていなかった
大きく息を吸って
吐く
これ以外
方法を思いつかない
目を閉じる
静かになる
暗やみ
に足を踏み出して

観覧車のある丘
を何度も夢で見た
ガラス細工みたいな夕暮れ
空気が澄んだ秋の朝
流星が降る夜
いろんな風景のなかに
観覧車は静かに立っていて
ゆっくりと回りつづけている
あたしは箱のひとつに乗る
係の人はいない
箱はゆっくりと上っていき
頂点に達したところで
観覧車が激しく軋み
突然動かなくなる
あちこちのネジが飛んで
鉄骨が歪んで
他の箱が
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