兎/鴫澤初音
 
で雪を頬に感じながら
倒れるノワケを抱き起こしたかった、なぜ
あんなところで終わったのだろう。
とりかえしがつかない、サチエは泣きたくなった。

母親が階下から、朝を呼んでいる。
仕方なく、起きあがり日常を始めることにした。
夢を、サチエは愛していて、
眠ることは何より好きだった、それも深い眠りではなく
ほとんど目覚めているような浅い、眠りだった。

学校へ行く為の、壁にかかった服を身につける。
ああ ノワケが倒れたあの恍惚のような顔と
湯気がたっていたズボン 震えていた足首や
肩を もう一度 見たかった

バスを降りて学校へ歩いていく。
同じ制服がたくさん横を通
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