重ね/鴫澤初音
 
を         うっとりと    
                          聞いている

  窓枠に 頭を押さえつけられて 痛みを
  
  舐めながら

  隣り三軒で お姉さんが同じく痣を また産んでいるのだと

  切れるような悲鳴を 聞きながら
                          考える

  
  静かに 流れていく日が ゆっくりと 沈んでいく

  泣いている お姉さんの声が 耳の奥で

                          こだます



  朝 お姉さんと黙礼をかわし

  夜 お姉さんの悲
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