重ね/
鴫澤初音
痣が むこう三軒隣りのお姉さんの腕に塗り込まれていた
(おはようございます)
そう 言わずに 黙礼を交わし合って 互いの痣を青く
見つめあう
朝 白い花がはらはらと二人の間で 音も
たてずに 落ちていった
学校へ行く 鞄を肩にかけてそれが ひんやりと
まだ少し 寒い空気に湿っていった
お姉さんは 不図微笑んで 唇の端にできた血の固まりを
ぽろぽろと落とす (夜には)
お姉さんの悲鳴を
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(4)