『スイッチ』/東雲 李葉
 
暗い部屋が淋しくてスイッチ入れれば、光は溢れるし音は流れる。
ボタン1つで沢山のコトが出来るようになったね。
便利な時代なんだと子供の僕でも分かるけど、
失うモノの多さに比べたら小さすぎる進歩だね。
電源切っても悲しみは消えないし、高画質の画面でも君の想いは見えやしない。
電波を飛ばす関係でどれくらいの人が繋がっているんだろう?
僕の場合、きっと誰ともリンク出来ていない。
結局僕らは淋しいだけじゃないのかな?
どこでも聴ける音楽も、いつでも交信出来る通信機も。
四六時中誰かと関わって単調な淋しさ誤魔化したいんだろう。
なんだか人間は随分弱い生き物みたい。
誰かが居なくちゃ淋し
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