『スイッチ』/東雲 李葉
 
淋しいだなんて。
その繋がりがどんどん淡白になっているというのに!
君に送った無機質なお手紙。何故だか捨てるのが怖いんだ。
僕の小さな頭にはメモリー機能なんて付いていないから、
いつか記憶が霞んだとき、君という存在を証明出来なさそう。
保護ボタン100回押して。
無くならないように無くならないように。
大切なのは君とメールとどっちだっけ…?
届かない想いが事務的な方法で届くのはなんだか面白いと思わない?
それは例えば「話がしたい!」なんて想いを声に出さずに言うのに似ている。
便利すぎてやるコト少ない世の中だけど、
スイッチ1つで動く世界はいつもどこか危なっかしい。
どっかで誰かが間違えたらきっと簡単に壊れてしまう。
なんだか、僕にはかえって複雑だ。

誰か発明しないかな。
ホントの自分を起動させるスイッチ。

早く誰か発明してよ。
電子の世界を作り変えるとっても便利な赤いスイッチ。
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