ゆきをんなとわたくし/こしごえ
かなしいふちに降る雪が、
しろくしろいねむりにつき
冷気をはりつめて
その肺にひびいている。
しぃん、とした熱が、
深淵から徐々にひろがり
焼けた声となって吐き出され
冬の空のもとを
しろくにじみながら わたっていった。
わたくしという形象は、無器用な月の刃(やいば)である。
青白くやせ細りしかも虚空で
みちては欠けるを繰りかえす稜線。
みねはおし黙りけわしく
そびえている
恐ろしい。雪の白さに穢れは無くて
月光でしろがねいろに青ざめて
― 今日も終りますわ、と
君がつややかな黒髪に手をやった
白いくびすじは
亡霊のように透けて
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