根の国/リーフレイン
 
どこまでものびる根に絡み取られて骸が溶ける
けっして混ざりあうことのなかったいずれの骸もへだてなく
地上にあった輪郭も 根の国の薄暗いぬくみの中に薄れ
あなたもあたしもない黄泉比良坂のなだらかな坂を
あなたもあたしもなくしながら下り降り
言葉は意味をてばなし
魂はそれとわからぬ光を放って消え
根の国の 底の底へと溶けて流れる

ごつごつとこぶを持った根の先に 繊細で
女の髪の毛のようにつやめかしく
生まれたばかりのネコの毛のように
やわらかく たよりなく したたかに絡みつき、
あなたもあたしもなく

あなたもあたしもなく




[次のページ]
戻る   Point(3)