根の国/リーフレイン
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女は業が深いから往生はとげられないのだそうだ。悪人よりもまだ深い業なのだそうだ。経文を書く手が男の手であったのだと、斜めに笑い、それだけでは切り捨てられない予感に心が冷える。業は煩悩で、未練で愛燐であるのだという。あきらめてもあきらめてもまだ残る想いを捨てるのが往生であるのならば、女のみならず人はみな業が深いに相違ない。閻魔様が生前の罪と善行を比べるのだそうだ。他力本願の浄土真宗に長くいたけれども、どうやら自分のために南無阿弥陀仏を唱えた覚えはなく、罪の多寡を思い起こしても、地獄は当然なのだという気がする。粛然と行列に並び、地獄へと歩みを進める。
二つ道があって、一つは広く歩
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