砂一粒/サナギ
ら
どこかで一番鳥が鳴き始めると
大きく寝返りを打った世界が
目を開けて
また
人を喰らう
一番に優等
一番にお金持ち
一番に劣等
一番に貧しく
それらはみな人であるという静かさの前で
空腹な黒光りする玩具達にも等しく喰らわれる
海辺には亡骸が
波に押し戻されて黙々と積まれる
まるで一粒の砂が集まっては砂丘をつくるように
だが海は何も言わない
火ばかり使うから焦げくさくすすけ
刃物ばかり使うから血なまぐさくぬめり
それでも
ぼくらは膝や肩やお互いをかき抱いて
うごめいている遠い漁火を
瞳に写し続けるだろう
日めくりの最後は十二
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