彼は別れ、変われる。/木屋 亞万
 
だけでは言い足りない。別れは言葉ではなく、逢えなくなることだから。どの言葉をもってしても、すっきりは出来ないのだとポンコツの脳部は割り出した。抱きしめてやりたいけど、それは僕の暴走で、我侭で、幾重にも重なるファイアーウォールが、君を守る目的以外で君を拘束することを拒否する。
 駄目だよ。もうすぐ僕は見えなくなる。涙目は駄目だ。最後にしっかり僕の顔を、積み上げてきた思考を、覚えておいて欲しい。君は僕にすごく甘えてくれたけれど、僕がいなくなれば君は唇を噛みながらも前よりずっと強くなる。そうじゃないと、僕が来た意味が無くなってしまうから、それでは僕が可愛そうだと最初は君は無理に強さを見せるけど。一年も
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