彼は別れ、変われる。/木屋 亞万
年も経てば君は、優しさを内に秘めたしなやかな強さを獲得するだろう。いや、これは脳部の予想とか推測とかそんな物ではなくて。この馬鹿な機械の主観がそう言っているんだ。
あと三分もすれば、君は僕が見えなくなる。お別れだ。少し輪郭が透け始めているだろう。僕はもうすぐこの時代では空気と同じ成分になってしまう。でも死ぬわけじゃない。未来で回収される。君たちの魂だって似たようなもんだろう、これも主観の想像だけど。あと二分。カウントダウンなんて、何か嫌だね、やめるね。挨拶はちゃんとすること。感謝を忘れないこと。なんて遺言みたいか。何を話せばいいんだろう。マニュアルにはサヨナラ、アリガトウ、オセワニナリマシタ、
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