初旬、二七日/鴫澤初音
 
かった


   
 
 いつか


 猫が死んで 初七日が過ぎた
 名前もつけないうちだった 妹は泣いて
 泣いて 泣いて 眼を開けられなくなった
   
「ああ いつもこんなことばかり だね

                    ――――だね、」

   
 心が どこにあるのか知りたかった、

 妹が言った言葉 を

   
 一つ一つを追いかけている どこを見つめ直しても
 足りなかった 小さかった猫の墓に花を溢れるほどさした
 あれから花を美しいと 思えなくなった と
 妹はあわせた手をほどいたずっと後で言った

「だって 花は無
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