鬼の左手 (3/3)/mizu K
ます、聞き違いか声音もさらに大人
びたように思われます
もうし、なぜ笑っておられるのか/
そなたは
人ではなかろう
ばっさり落とされた傷口から流れるものをそのままに
土を濡らして歩いておるそなたは
人では、ない/
これはこれは、めったなことを申されますと/
鬼か/
だとしたら/
言うが早いか男は娘の腕をむんずとつかんで、目には鬼火が
燃えているような色合い、はたしてその姿も先程とは異質の
ものにて、陽炎の奥のようにゆらゆらとした立ち居、手にし
た女を今にも連れ去ろうとしました、が、ばたりと倒れ伏し
の、ど、が、か…/
炎天にやられて動けぬようになったと思
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)