鬼の左手 (3/3)/mizu K
す
ときに、水をもらえるところは知りませんか
喉が渇いてしかたないのです/
それ、そこに
陽炎がゆらゆらしておりますが
あなたさまの言うお祭りもそれと似たようなものでしょう
どこに連れていこうとなさりたいのか知りませんが
今日も暑うございます、といって
気がまどうとでもお思いか/
幼子が奇妙な視線で男を眺めます、見間違いか急に背が伸び
たように思われます
その左腕はどうなされた
傷口がそのままなのにまるで
平気な顔をなさっている/
左…さあ、どこか怪我をしておりますか/
はて、おのがことがわからぬというのか
不思議な方じゃ/
幼子、否、娘が男を眺めます
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)