降りつのる淫雨のように/hon
がっていった。男たちは皆一様にズボンのチャックが開いていた。路地から少し奥まった敷地に建つ動物病院の正面入口は回転扉だった。花弁のように精巧な回転扉のメカニズムが、いみじくも街区の過去の姿をプリズムのように映し出し、黒い手袋の女はその境界で会ったことのない人物と再会した。
ほとんど奇跡的に女が境界を抜けると、そこは異国風であり、夜の情景だった。むろん、男は寝台に裸で横たわっていた。滲んだ星明りの下、女は疼くような肉欲を胸の底に覚えた。御影石の床一面を、夜露に濡れそぼった落ち葉が蔽っていた。その床を女は這っていって、男の太腿に取りすがった。女は男の撓んだ男根に左手を添えて、自らの女陰に導いた。かす
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