降りつのる淫雨のように/hon
 
死体の睾丸のようにぶよぶよとした狂躁のさざ波が、木の根の裂傷した傷口に癒着し、乳頭の色の赤い風船が閉鎖したアーケード街に向かって、ゆっくりとまっしぐらに爆笑しながら枯渇していくオゾン層に、ややあって馴れ馴れしく背中を叩かれた。
「失礼、おっと失礼……連隊あがりで血の気の多い連中でしてな。先だって二週間前も、無駄に広がりのある塹壕から、こいつら、列をなして抜け出したのです。山脈の麓に沿ってまばらに点在する、ほぼ廃棄された養鶏場に住み着いた、痩せこけたヤマツバメをまるまる二十羽ばかりほど……ハハハ、なにせシーツにこびり付いた下血のような、チョコレート色にぎらつく勲章を、上半身や下半身にこれ見よがしに
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