白熱/佐々宝砂
ないとりたてていうところのない女子中学生 もちろん全然美人ではなかった それが洋子で そして俺はどうしようもなく洋子が好きだった 俺は放課後になると洋子とふたりで学校の屋上にあがり 宇宙船を呼ぼうとした 洋子は呼べると信じていた 俺は信じていなかった 洋子は 田舎の中学の野球部のピッチャーで比較的勉強ができて少しばかり格好がいいだけの ただそれだけの男を宇宙に連れてゆくつもりだった 俺はただ悲しかった これほど悲しいのだから宇宙船がくるはずなどないと思っていた
3.
ホワイトホールというものが宇宙のどこかに実在する とは科学雑誌にさえも載っていなかったような気がする ホワイトホ
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