zets/go/渡邉建志
う、となったときに初めて私だけのものになるのか。そこまで危機が迫らないといけないか。私は私に責任がない、借りてきた私には責任がない(借りてきた私、など本当は存在しないので)。その認識の上で、私は私に責任を持てるのだろう。話は抽象的になるばかりだ。私探しの宇宙にもぐりこむばかりだ。好きなものはラヴェルとルドンなのだけれど、それさえ借り物かもしれない、どうして私自身が好きだといえるのだろう、それは兄の趣味であり朝日の美術雑誌の趣味であるかもしれないではないか。
借りてきた私ではないのだと思う。私は私が飢え死にしても誰に借りもないのだ。私は私が偉人になれなかったとしても誰に借りもないのだ。えらくな
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