zets/go/渡邉建志
 
れでもなんとか昏倒せずに生きてゆくのです。
現実を その今生きている現実を
どうしようもなく直面している
生活を
感情を
世界を
言葉遊びではない 火遊びで
どうしようもなくぶちまけながら。


  +


暗い森に雨が降っている
その暗闇の中に微かに見える古い修道院
のピアノが鳴っている

修道院の屋根は朽ちており
光と雨が屋根から滴り落ちる

ピアノが鳴っている
誰かが弾いているのだ
濡れながら
かぜをひきながら


  +


僕は坂を走り降りながら、夕焼けを空に監禁する。
感傷は死ぬ前に一度感じれば、それでいい。
僕は空の一片を
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