臨界に富む/皆川朱鷺
 
と似ているではないか。
そんな風に笑われても、私はてんで理解できなかった。
私の美的感覚は世間のそれと類似していると心得ているからだ。
美しい女には美しいと感じる筈だ。
しかし私の周りにくる女に対し、私は拒絶反応を覚えた。
それも、激しい拒絶であった。
手、指一本、触れられるだけで、吐き気がした。
男に性的魅力を感じたことは今だかつて無く、たとえ潜在的にでも、今後もないだろう。
しかし私は私の周りの女を受け付けられなかった。
それでも人間生きていれば出歩くもので、そうすると必然的に女がどこからか飛んでくる。
仕方が無くも、私でさえ生活サイクルの中で出歩く必要
[次のページ]
戻る   Point(1)